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最高裁判所第二小法廷 昭和32年(あ)212号 判決 1959年6月05日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人諌山博の上告趣意第一点及び第二点について。

各所論は、結局本件山の上倶楽部は、団体交渉の行われている間は、右建物全体が会社と労働組合の共同管理の下におかれているものであるから、一般労働組合員がこれに立ち入っても住居侵入罪を構成しないという原判決の事実誤認、法令違反並びにこれを前提とする違憲の主張に帰するものであって、刑訴四〇五条所定の上告適法の理由にならない。

同第三点について。

原判決の是認した第一審判決の確定した事実によると、被告人森田、同古賀の両名は相被告人山本、同松原と互に意思を連絡した上、判示団体交渉が深夜一旦休憩に入った際、交渉の行き詰ったことを聞知して憤慨し、他の労働組合員とともに判示山の上倶楽部の表門を通って同倶楽部玄関にいたり、会社側係員及び組合幹部が阻止するのを排し、強いて土足のまま玄関より屋内に一斉乱入したというのであって、かかる右被告人両名の所為が労働組合法一条一項の目的達成のためにする正当行為であると認めることのできないことは、当裁判所大法廷判例の趣旨に徴し明らかである(昭和二三年(れ)一〇四九号同二五年一一月一五日宣告、刑集四巻一一号一二五七頁、昭和二二年(れ)三一九号同二四年五月一八日宣告、刑集三巻六号七七二頁各参照)。されば、原判決には所論のような違憲、違法のかどはないから、所論は採用できない。

同第四点は、単なる訴訟法違反の主張を出でないものであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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